消費者志向のスタートアップの変化する景観

はじめに

スタートアップの世界は絶え間なく変化し、様々な分野でトレンドや優先事項が新しく現れています。この記事では、Forerunner VenturesのパートナーであるEurie Kimが共有した洞察、つまり消費者への投資の現状、スタートアップにおけるAIの役割、IPO市場のダイナミクスの変化について詳しく見ていきます。

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消費者への投資の現状

Forerunner Venturesは、健康・ウェルネス、旅行、パーソナルケア、フィンテックなどの分野にわたる幅広い消費者志向の企業への投資実績を築いています。しかし、2022年には消費者への投資に対する考え方が変化し、一部の企業が消費者分野から距離を置くようになりました。にもかかわらず、Forerunnerの調査によると、消費者企業はエンタープライズ企業に比べて、IPOに至る可能性が高く、より高い売上高倍率で取引されるなど、各指標で優れた業績を上げています。

消費者事業の定義

消費者事業の定義は、単なる物理的な製品を販売する企業という枠を超えて広がっています。今日では、B2BやB2Cを問わず、顧客とのエンゲージメントを重視する企業が含まれます。Shopify、Etsy、Skims、Affirmなどが成功している消費者事業の例です。ソーシャルメディアの普及により、消費者ブランドが新たな流通チャネルを活用して、顧客に直接アプローチできるようになりました。

資金調達環境

資金調達環境は、2021年の熱狂的な状況から2022年、2023年にかけて、より持続可能なペースに移行しています。Forerunnerは年間8~12件程度の投資を行う通常のペースに戻っており、これにより、チームや戦略をより深く理解する時間が得られるようになりました。後期資金調達の減少により、中期的な資金調達が「絞られ」、投資家は資金提供の前に、より多くの実績と証拠を求めるようになっています。

スタートアップにおけるAIの役割

多くのスタートアップがAIについて言及していますが、Forerunnerは、AIがコア機能であるか、あるいは事業の効率化を実現するものであるという企業に投資しています。SpeechifyやPerplexityのようにAIが事業の基盤となっている企業や、AttikusやDuck Billのようにサービス提供にAIが活用されている企業に投資しています。一方で、明確な使用例やコア製品・サービスへの統合がなくAIについて言及するだけのスタートアップには慎重です。

IPO市場

IPO市場は2022年は低調でしたが、2023年にはすでに4件のIPOが行われ、2022年全体の5件を上回りました。新規公開企業の取引倍率は「通常」の範囲に戻っており、2024年売上高倍率は12.4倍、2025年売上高倍率は9.5倍となっています。Forerunnerは、多くの優良企業がIPOを控えていると考えていますが、収益性を維持しており、上場のタイミングを自由に選べる立場にあるため、慌てて上場する必要はないと考えています。

まとめ

スタートアップのエコシステムは絶え間なく変化し続けており、消費者志向の事業とAIの役割が、その景観を大きく形づくっています。Forerunner Venturesの洞察は、消費者への投資の変化、AIの重要性、IPO市場の変化を明らかにしています。スタートアップの世界が今後も変化し続けていく中で、起業家や投資家がこれらのトレンドに注目し続けることが、新たな機会を捉えるために不可欠です。

キーポイント:

  • Forerunner Venturesは、様々な分野の消費者志向のスタートアップに強く注目している。
  • 消費者事業の定義は、物理的な製品の販売から、顧客とのエンゲージメントを重視するモデルまで広がっている。
  • 資金調達環境は2021年の過熱から落ち着きを取り戻し、投資家は実績と証拠を求めるようになっている。
  • AIは、明確な統合と活用例のあるスタートアップにとって重要な要素となっている。
  • IPO市場は2023年に一定の活発さを見せ、取引倍率も「通常」の水準に戻ってきている。
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